リハビリ人生

変な人間と日常の記録

娘の乳を笑うな


今日は「ない。」の記事に引き続きおっぱいがないことに関する話です。


母親が娘の貧乳を馬鹿にしている。

母親は胸が大きい。母親のカップ数をブログに公表しても私にも読者にもなんのメリットもない(ちなみに自分の胸がないことを延々とブログに書き続けることも私にも読者にもなんのメリットもない)のでわざわざ言わないが、子どもを産んでから大きくなっていったらしい。

そんな母親も子どもの時は胸がまったくなかったらしく高校生の時、次の授業が体育なのにブラジャーのホックがこわれて困っている同じく貧乳の友達のために、自分のブラを外して教科書の間にブラジャーを挟んで友だちに貸してしばらくノーブラで過ごしたという逸話がある。いや、これは貧乳であることを証明するエピソードではなく、ただ、母親が図太い神経を持ち合わせた人間であることを格付けた話か。


痛みを知った人間は、傷ついている人に優しくなれる。その理論で世界は今日も一定の優しさを保っている。
昔は胸が小さかった母親は、貧乳側の気持ちがわかる人間であるはずである。

なのにも関わらず、母親はわたしの胸の小ささを若干馬鹿にしてくる。

私が母親の服を借りて鏡を見ていると、
「あ〜やっぱりその服あんたみたいな胸がちっちゃい子が着るとよー似合うね。いいね、胸が小さくて・・・」
とにちゃにちゃ笑いながら言ってくる。自分より娘の方が服が似合ってることを認めないために、胸がでかいことでにちゃにちゃ笑いながら優位に立とうとすな。


昨日は母親と買い物に行った。
下着売り場のコーナーに入ったのでわたしは自分の下着が見たいので、付き合ってほしいと話した。

下着売り場でブラジャーを見ながら母親は「そもそもAとかサイズあるの?Bからじゃない?」と言ってきた。アルファベット何から始まるんじゃ。Aちゃうんか?アルファベットの歌うたってみぃやオノレ。

しかしマジでない。
23年間このカップと向かい合ってきたが、下着売り場におけるAカップの迫害のされ方は凄まじい。

情事の際に男性が服をめくって下着に出会える瞬間は「ふわーお♡」という効果音が出るような可愛くてセクスィな下着が似つかわしいと私も思っている。今夜はいざ決闘ゆかん!勝負あれ!と私の中の猛き者がざわつく時には「勝負下着」なるものも身につけたい。

でもない。
可愛いやつがない。

私はもっとチラリと見えた瞬間に「ふっ今夜は遊んであげる」とブラジャーが頭の中に直接話しかけてくるようなセクシーな奴が欲しいのに、「あっ・・・ドモ・・・こんなん出ちゃいましたけど、どっすか・・・」みたいな自信のなさそうなブラジャーしかAカップにはない。


すると母親が私が見てたところと別のブースから「こんなんあったよ」と持ってきた。

 

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私の頭には悠然と空を泳ぐ一匹の鯉が浮かんだ。

そのブラジャーはセクシーを象徴する真っ赤な色をしているが、細かく色が部分によって変わり、それは魚の鱗を想像させ、出会い頭に「うお(魚)〜」と驚きたくなる感じだった。ていうか魚だった。鯉のぼりだった。

鯉のぼり柄ってなに?
可愛いの?

勝負下着になる?

服の下から出てきて「よっ!鯉のぼりか!めでたいね!こりゃめでたいついでに、一本まぐわらさせていただきますか!」ってなる?

「これ・・・いいじゃん。可愛いじゃん」

母親はにちゃにちゃわろとる。

「いや、これ鯉のぼりじゃん。」

私が突っ込むと母親が下着売り場で響くくらい噴き出していた。

「こwwwwいwwwwのwwwwぼwwwwりwwww」

どうやら鯉のぼりだと思って持ってきていた訳ではなかったらしい。しかし、この笑いよう、元々「おもろいもん見っけたで!」と持ってきたものが娘によって的確に表現されたことに大爆笑している笑いである。
娘の小なる胸におもろいもん付けようとするな。

 


胸に面白いものを付けられそうになったし、その後も「これどう?」と言って小学五年あたりからつけ始めるスポーツブラを持ってくるボケをしつこく繰り返されたので、気分を害し、結局その日はブラジャーを買うのをやめた。今度は自分一人で来ることにしようと思った。

 

家に帰ると、母親が少し反省した様子で話しかけてきた。

「悪かったわ。あんたも少しは悩んどるのにな・・・。仕方ない。おっぱいを大きくする方法を教えてあげよう」

わたしは散々ネタにされて拗ねていたし、おっぱいが大きくなる方法なんて散々ネットで調べてるから別に今更聞くことはないと思って、話半分で携帯をいじっていた。

「おっぱいを大きくするためにはね、
自分の肉に話しかけるんよ」

自分の肉に話しかける。

いかなるまとめサイトにも載っていなかった項目が登場し、動揺を隠せない。
どういうこと?

「あんた、細く見えるけどわりとぷにぷにしとるじゃろ?」


言うな言うな。
おっぱいも小さいうえに、お腹も出ていることを言うな。

「風呂上がり、その肉たちをおっぱいの方向に寄せ集めます。お腹の肉も、脇下の肉も。ほんで話しかけるんよ。
お前もおっぱいだよ
って」

完全に馬鹿にしている。完全に馬鹿にしているはずなのだが、なぜか妙に真剣な目をして私に話しかけている母親。
いや、私に話しかけているのではない。
シュミレーションとはいえ、そこには贅肉という名の我が子をあやす母親の姿が見えた。

 

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「よしよし・・・気づいてなかったとおもうけど、おまえもおっぱいだよ〜」

「ほぉら元の場所におかえり〜」

「ほらおまえもゆけ〜」

「ほらほら〜」

 

贅肉を寄せ集めながらおっぱいに話しかける母親には母性が溢れていた。

使命を与えられた贅肉たちは一斉に産声をあげながら母の元へと向かっていく。おっぱいとは母なる大地のことなのかもしれない。
そこに向かっていく贅肉たちは、おっぱいになるべくして生まれてきた肉たち。

 

「いや、絶対うそじゃん」

 

母親の真剣な眼差しに騙されそうになるが、ここは今までの馬鹿にされ方を知っているので、冷静な判断でいく私。

 

「いや、ほんとうだし。毎日私話しかけることでカップ数2つ分あがったし」

 

ぜってー嘘。

しかし、高校時代胸が小さかった母親はいまでは大きいことを考えると、妊娠を経験した以外にも大きくなった要因があったと考えられるではないか。

母親が言っていることが確かであれば、私にもまだおっぱいが大きくなるチャンスがあるのかもしれない。

 

今まで馬鹿にしてきた分、最後くらいは本当のことを言って娘を勇気づけているのだとしたら・・・?

今まで馬鹿にしてきたのは、私がそれをエネルギーに変えて、バストアップの努力を図っていくためだったとしたら・・・?

 

 

お母さん・・・

もしかして、最初から貧乳を馬鹿になんて・・・

 


贅肉に話しかける奇天烈な母親。しかし、妙な説得力を身に纏う母親。とりあえずその場は「ふーん」という適当な相槌で乗り切った。

 

 

 

 

その日の夜、お風呂上がりにこっそりお腹の肉を寄せながら「おまえもおっぱいだよ〜」って言っているところを母親に見られて大爆笑された。


母親は今日も娘の貧乳を馬鹿にしている。