リハビリ人生

知り合いに「アケスケなブログ」って言われました。あけみって名前のスケバン?って思ってたら赤裸々って意味でした。

彼女は面白くない

 

オーストラリアから手紙が届いた。


え?オーストラリアに友達なんていましたっけ?と一瞬思うが、宛名のRの文字でなるほどと思う。

今回話に出てくるRは、韓国で一緒に垢すりを受けたRである。

 

 韓国のアカスリに行ったら地獄だった話 - リハビリ人生


彼女と最初会った時、どちゃくそいかついし怖いから関わらないようにしようと思った。

ファーストコンタクトは大学のサークルでの顔合わせだった。

私が入っていたサークルは一学年100人くらいいるでかい規模のサークルで、大きな枠組みの中に何個かの部局に分かれている。その中の一つに、平和部局という部局があった。
先輩が「カンボジアに行くよ!」とか大それたことをその部局のパンフレットに書いていて、私は「なるほど、カンボジアね、まあ大学生活の経験値としてもこういうの行ってみるのもアリよね」とクソ大学生として例に漏れない思考回路でで釣られて入ったのだが、実際は企画が通らなくてカンボジアに行く活動というのはボツになってしまった。詐欺である。カンボジア詐欺。まあなんやかんや続けて私はその部局長になったりもしたんだけども。そのカンボジア詐欺にひっかけられた中の一人が彼女だった。

Rは出会った当初、頭が半分に分かれていた。俗に言うツートンというやつである。彼女の頭は真ん中でくっきり分かれて、片方が金髪、片方が黒髪になっていた。ド目立つ。
そんな個性的な外見で「平和活動に興味あります!」と言ってる彼女を見て「うそつけ」と普通に突っ込みそうになった。


さらに、その時の彼女のTwitterのアカウント名は「みんなの〇〇」だった。私を取り合うのはやめて!私はみんなのものだから!とでも言わんばかりの自信に満ち溢れたアカウント名に、私はおそれおののいていた。自分が大好きじゃないとつけられないネーミングだ。
しかし、「みんなの〇〇」というネーミングセンスはあながち間違いではなく、彼女の人脈は凄まじかった。
色んなところで色んな人と仲良くなるので、びっくりする人がRを知っていたりする。Rを知っていることで共通の話題ができて、また仲良くなれたりする。
Rが人と人との接着剤のような役割を担っているようだった。

 

Rの髪型は色んな色になっていた。
黒金ツートンから始まり、黒赤ツートン、ピンク、1度黒金の間に赤色を混ぜるというオムライスみたいな髪型になったりもしていた。

さらに、赤が好きなのか、彼女の部屋は真っ赤なカーペットに真っ赤な置物の山、日の丸のドデカイ布を壁にかけているという、完全に女暴走族のやべぇ部屋だった。遊びに行った時すぐさまUターンして帰ろうと思ったのもの事実である。


ある時からはずっと黒髪になっていたのだが、彼女の奇抜な髪型、奇抜な部屋、その他もろもろの奇抜さを目の当たりにして、「ここまでする必要ある???」と私はよく不思議に思っていた。

 

そして、あることに気づいた。

Rは実は全然面白くないのでは?と

 

Rは人気者だ。でも、実際メチャメチャ面白いことをいつも言っているかと言われればそうでもないのだ。

彼女をよく見てると、その場のノリに合わせてメチャメチャ適当なことを言ってるだけなのだ。

韓国に一緒に行った時、フェリーが大阪についた瞬間「あぁ〜ここが韓国か〜何もかもが違うな〜」とか言い出すし、韓国に着いたら「やっと大阪かー」とか言ってくる。雑。雑なのだ。
どこいっても変なノリと勢いと、動きでなんとなく面白く見えているというだけなのだ。(それが出来るというのもそもそも凄い才能なんだけど)

彼女の面白くない所に気づいて私は、なんか逆に面白いなと思っていた。

 
人気者でいつも明るいRなのだが、いつか急に「ほんとはマジで友達が少ない」とか急に打ち明けてきたこともある。
仲良くなってから、Rはそんな闇の部分をよく見せてくれるようになった。
学生時代に色々あっただとか。
彼氏に物凄い束縛をするだとか。
酒を入れないと眠れないからいつも養命酒を飲んで寝ているだとか。実はものすごく暗いとか。

私はRのそういう話が大好きだった。

 

そしてR自身から聞かなくても私はRの好きな所を何個も知っていた。

不真面目なように見せかけて誰よりも大学で自分の好きなことを誇りを持って勉強している所だとか。 

部局の活動に参加出来なかったことが悔しくて、急に泣き出した所だとか。

面白いようで実は全然面白くないみたいな所。
そんなギャップ一つ一つに人としての奥行きが感じられて、結果的に魅力的な人だなと思わざるを得なかった。 

 

 

私は大学を卒業したが、Rは今何年生なのかよく分かってない。大学を何度も休学して、海外へ留学しまくっている。“みんなのR”というのをワールドワイドに展開しているみたいだ。ブラジル人にメチャメチャ惚れられて、自分への想いを込められたタトゥーを彫られたという話を聞いて、今こそ“みんなのR”という名称を活かせよと笑ってしまった。


自由人なのか、依存気質なのか、根暗なのか、明るいのか、彼女のことはいくら経ってもよくわからない。

 

友達のことを急にブログに書いたりするのはおそらくこれが最初で最後だろう。
Rのことを急にブログで書いたのは、オーストラリアから手紙が来て、前に「わたしのこともブログで書いてよ〜」と言われてたことを思い出したからだ。


その時Rに、

「わたし中学の時、工事の関係で卒業間近に校舎がぶっ壊されてさ!それを書いてほしい!卒業とともに思い出の地がぶっ壊されていく気持ちわかる?ガシャガシャガシャガシャーー!!!って壊されていく校舎見ながら『ここにいるのもあと少しか・・・』と思う気持ちわかる?!それについて書いてよ!!!!」

って言われてたんだけど、
なんだそれ。
書けるか。めっちゃ面白いけど。


とりあえずこんなんで許してもらおう。と、肝心のRの手紙を開いたら、中国製のハガキに「オーストラリアより愛をこめて。ってこれメイドインチャイナやないかーーい!(ここで爆笑する)」と書いてあったので、やっぱりこいつ全然面白くないな、と私は笑った。