リハビリ人生

知り合いに「アケスケなブログ」って言われました。あけみって名前のスケバン?って思ってたら赤裸々って意味でした。

歪んでいても続く日々に笑みを

鏡の前で化粧をしながら母とたわいもない会話をしていた時、鏡に映った自分の顔を見て「うわあ!」と言ってしまった。そこには片側に口角を上げて不自然に笑う女がいた。

お世辞にも綺麗とは言えない歯並びをしている。歯並びもそうだし歯の形も八重歯があったり、全体的に口を開くとギザギザしている。
歯並びが不自然な噛み合わせを生み、自分にとって使いやすい方の歯にばかり重労働を課すばかりに、片方の表情筋のみが発達したのかそれとも顔の骨格自体が洒落にならんくらい歪んでいるのか、年々私の笑みは歪んでいっている。

人の印象は外見でおおよそ決まるなんて言うが、歪んだ笑みを浮かべる私を見て、何人かが私の人間性の歪み具合を推定したりするんだろうか。



「今、なんか笑ってなかった?」

人の多い喫茶店で友人が私をジトッとした目で見ていた。

私はというと、その時自分が笑っているだなんて思っていなかったから、「笑ってないよ」と素直にいった。
でも思い返すと、笑っていたのかもしれないと思った。

その友人とは13時に待ち合わせをしていて、時間通りに行くと「ごめん今バタバタしてるから15分後に来て!」とメッセージが来た。本当はもう家の前まで車を乗りつけてたのだが、そのことは言わず、「はいよ〜」とニョロニョロにありったけの呑気さを詰める。
その後「やっぱり30分後」と返信が来て、近くで暇を潰していた私は一度家に帰った。

その後「ごめん、実は今家に警察が来てるからだいぶ後になる」と連絡が来た。

その子の家が大変な状況にあるという話は聞いていた。今日も約束の時間間際に、家のトラブルが原因になって警察が来るほどの騒ぎが起きていたらしい。
これに関しては詳述は避けるのだが、その大トラブルにはその子自身にも要因があるらしかったので、「友達と約束してる時に警察沙汰の事件を起こすなよ」と思った。

私が笑ったらしかったのは、やっと喫茶店で落ち合えた後、その子から警察沙汰の事の顛末を聞いている最中だった。

「笑ってないよ」と言った時には明確に笑っていた。私はどうしていいかわからないとヘラヘラ笑う。

するとその子は、「いやお前は笑っていたし、お前はこういう時にこういう状況を笑ってくる女だよ」と言った。

それは別に嫌味ではなく、幼なじみである理解者からの分析だった。
そしてそれに関しては私も納得した。




どうしようもない状況に出くわした時、笑わざるを得ないことがある。感情の分類ができないまま、表情を通して外に出た時、笑いになっていることが多い。
でも、申し訳ないけど、私は本気で面白いとも思っている。

アル中の気があった元彼が、私と別れてからアル中を悪化させて、私の次に付き合った女の部屋でおしっこを撒き散らしているらしいという話を聞いた時、私は爆笑していた。
本気で面白いと思った。悪い笑いだと思う。
幼馴染が警察沙汰のトラブルを起こして約束に遅れてくることも本気で面白いと思っている。悪い笑いだと思う。

でも、ここで「笑い」という感情を選択するのは自由だと思っている。
私たちはギャンブルに失敗して自己破産して笑っていいし、酒に溺れて川に落ちて風邪をひいて笑っていい。それが本当に「笑い」に分類される感情じゃなかったとしても、心は後からついてくる時もある。




「でもありがとう!話聞いてくれてスッキリしたわ」

と笑う友人に「そりゃよかった」と返す私の笑顔は、片側に歪んでいる。

欠けたり歪んだりしている私たちに、平等に、明日はまっすぐやってくる。