リハビリ人生

知り合いに「アケスケなブログ」って言われました。あけみって名前のスケバン?って思ってたら赤裸々って意味でした。

酒を飲むな!地獄に落ちるぞ!

お酒が好きだ。
ビールに日本酒、ワインにカクテル、基本的にはなんでも嗜む。食べ物にあったお酒を頼んでちょびちょびと食べるのも好きだ。お酒の場と雰囲気も好きだ。お酒の力を借りてほんの少し込み入った話もしやすくなって、普段は出来ない距離の詰め方をして関係を深くできる感じも好き。

ただ、そんなに強くない。
生ビールジョッキ3杯ハイボールに日本酒を挟み始めるとだいぶ気分が良くなってしまっている。弱いというわけではないのだが、そんなに強くない。それが私の酒との関係。

こうなるとどうなるか。
私の場合は、二日酔いが本当にエグいことになる。
飲み会の後はしこたま水を飲まないと、次の日は一日を潰す。夜は起きてトイレに向かい、眠れないまま朝を迎え、ベッドに水を置いて一日を過ごす。身体中が筋肉痛のようになり、頭は割れるように痛み、目を開けると目の前が回り、「もう二度と酒を飲むのはよそう」と回る世界に思う。その反省は活きたことはないのだけれど。

楽しい夜を過ごせば過ごすほど、帳尻を合わすかの如く地獄はやってくる。
楽しかった昨日の思い出は、その時ばかりは罪のように思える。


地獄は誰にでもくるのか?


うちの母親は二日酔いを知らない。
母は酒グセが悪い。
私は母親の酒を飲む姿があまり好きではない。お酒に酔うと気が大きくなり、あからさまにテンションが高くなる。そのわりに情緒が不安定になりすぐ怒る。
飲み会に行った母を迎えに行った父が1人で戻ると「何か知らんが逃げられた」と言った。どこに逃げるというのか。家はここなのに。
車であちこち探して帰ったら、猫とたわむれる母がそこにいた。
夜遅く仕事から帰ると家のドアが壊れてたこともあった。入れないから裏からはいった。寝ている母に理由を問い詰めると「知らん!!」と逆ギレされた。ドアが直るまでしばらく裏口からの出入りが続いた。

母はいつも笑えるか笑えないかギリギリのラインの酒グセを露呈してくる。
どれもこれも、笑い話として昇華すれば「面白いお母さんだね」で済む話ではある。

次の日母は決まって「昨日はすんませんでした」とシュンとして見せつつ笑う。二日酔いのない清々しい体調で。


地獄はわりと誰にでもは来ない。


元彼はとても酒が好きな人だった。
私は酒の味を覚えたばかりだったが、いつも頑張って居酒屋に着いて行った。
ぶどうサワーしか飲めなかったのでぶどうサワーばかり頼んでいた。大学生しかいない安いチェーン居酒屋の、箸立ての横にはノートがあった。めくるとそこに座った大学生たちのしょうもない落書きがたくさんあった。
今思うと別になんてこともない落書きノートなんだけど、その時はそれがすごく面白くて食い入るように見ていた。
すると彼は、私からそれを受け取り日付と自分の名前を書いて、「名前書いて」と私に言ってきた。
汚い落書きのノートに書かれた日付と名前。
それが妙に嬉しくて、彼が見てない隙に写真で撮って何回も眺めた。
その日は飲みすぎてやっぱり吐いた。
ぶどうサワー7杯分。


彼はメチャクチャ酒グセが悪かった。
先輩たちもいる飲み会で癇癪をおこして道の真ん中で暴れまわり、止めにかかった身体の大きい先輩たちを振り払って押しのけた。先輩は転び、腕時計が壊れた。
誰かが大学からリヤカーを持ってきて、寝ている彼は山の家にある家まで運ばれた。

その後も彼の情緒不安定は続き、情緒不安定の延長線上。
サークルの飲み会に彼は来ず、LINEには既読がつかなかった。
先輩が「ビールの人何人?」と聞くとテーブルにいたほとんどが手を挙げた。
本当はぶどうサワーが飲みたかったけれど、わざわざひと手間とらせて、ぶどうサワーを頼むのがすごく面倒になった。
「わたしもビールください」と言うと、「おっ!いいねえ!」と言われた。
初手でビールを頼むのは、何も考えなくて良くて楽だし、人から「いいねぇ」と言われることなんだなと学んだ。
ろくに話も聞かず、ビールを飲み続けた。
飲み続けると不思議とビールが不味くなくなった。
ビールはその日を境に大好きになった。
その後彼からはアッサリと別れを告げられた。


私は酒で人に迷惑をかけたことはほとんどない。でもいつも二日酔いで酷い目にあう。
酒飲みが酒で迷惑をかけたエピソードを意気揚々と語り、それが許されて笑いに昇華される空気感は苦手だ。
お前らみんな地獄に落ちろ。
そして「もう絶対酒は飲まない」と誓え。
その反省はやっぱり活きることはないのだけれど。

地の底から這い上がってヘラヘラ笑ってまた乾杯しようか。
人生、地獄と共にあり。