リハビリ人生

知り合いに「アケスケなブログ」って言われました。あけみって名前のスケバン?って思ってたら赤裸々って意味でした。

青春を強要するな

ポカリスエットのCMがある。

高校生が校舎の中で音楽に乗せて踊りだし、「君の夢は僕の夢」と歌う。意気揚々と踊る彼らの全身がみずみずしい青色に包まれて、「青春」の有様を見せつけられている、という気分になる。


あれは果たして青春なのか?


高校生が目に見えて、「今、青春をしている!」と思える時は一体なんなんだろうか。

体育祭で徒競走一番をとった瞬間?
文化祭で自分のクラスが優勝した瞬間?
好きなあの子と結ばれた瞬間?

どれもこれもが、青春として与えられたステージである。しかし、そのステージの上で自分の思うようなパフォーマンスが出来るかどうかはその子次第だ。

私は完全にパフォーマンスが出来ない側の人間だった。体育祭では、本当に運動が出来ないので徒競走で完全に迷惑をかけた挙句、他の色の応援団の方に仲良い子がいて、その子に頼まれて、他の色の応援団のTシャツの文字を書いてたりしてた。私の裏切り行為がバレていたかは知らないが、敵チームに協力してしまうくらい、私は体育祭という場にそこまで興味を抱いていなかった。



全身が青色に包まれながら踊り狂う姿を青春と呼ぶ人もいる。

しかし、その青色に包まれる舞台に立っておきながら踊ることを放棄するタイプの人間もいる。



わたしが学生時代に一番青春を感じたのは、ある夏休みの1日だった。
生徒会だったわたしは、同じく生徒会のメンバーとクーラーの効かないむんとした暑い部屋で顧問に呼び出されて待っていた。地味な女(私)、メガネ、メガネ、メガネのこの世で一番何も産まないカルテットである。
先生はやってくると、「生徒会のバッジを作るぞ!」と言ってきた。元々腕章はあったのだが、どうしてもバッジが作りたいらしい。

バッジのデザインを考えるとなった時、誰ひとりとしてデザインが出来そうな人が存在していなかったため、先生は生徒会の大きな旗を持ち出した。

「よし!!!この旗を上から撮ってパソコンにデータをいれてデザイン化しよう!!!」

全員が「一体何を言ってるんだこいつは」と思っていたが、もうその時点で暑さで完全に頭が回らなくなっていた。誰も先生の勢いをなだめるものはおらず、むしろそのテンションに乗っかってしまった。

全員で協力して、生徒会の旗を地面に敷き、シワにならないように伸ばした。風で飛んでしまいそうになるので、風がやんだ瞬間を「いまだーーーー!!!!」と見計らってそれを生徒会棟の屋上から撮影し(←なぜ?)、それをパソコンのデータにいれた。

「先生!こっからどうするんすか!」
「よし、ペイントを開け!」
「開きました!」
「よし、写真を貼り付けてそれの上からペイントでなぞっていけ!!!」
「!?!!?!!は、はい〜〜〜!!!!」

もう訳が分からなかったけど、暑さでテンションが完全におかしかった為、私たちは体育会系みたいなノリで「よっしゃあああ!!!」とペイントを開き、「おらああああああああ」と色を塗りつぶしていった。
細かい所はズームをして、一コマずつ色を塗り勧めていかなければいけないので、1人ずつ変わりながら、残りの者はうちわでペイントに向き合う1人を全力であおぎ続ける。「次はお前じゃあああああ!!!!」「よっしゃあああああああ!!!」と謎の奇声を発しながら全員でパソコンに向かった。

クーラーも何も効いてない、パソコンの熱と男臭さの中で、必死によくわからない何かを全員で完成させるというその光景に、私は「あ、青春してるな」って、なんとなく思った。


結局、経費が降りなかったとかでバッジは作れなくて、その夏休みの丸一日はなんの意味にもならなかったんだけど、
私はそのどうしようもない一日のことをずっとずっと覚えている。

きっと、ずっと覚えてる。





青色の舞台に立たされて、踊らなくったってなんの罰もあたるわけじゃない。



青春は与えられるものじゃない。

与えられた青春を無理やり満喫しようとしなくたっていい。


お前がお前の青春を作り出せ。


それが、「君の夢」であり「僕の夢」です。

【CM】ポカリスエット 「キミの夢は、ボクの夢。」全篇【歌詞付き】 - YouTube

ポカリのーもっ