リハビリ人生

知り合いに「アケスケなブログ」って言われました。あけみって名前のスケバン?って思ってたら赤裸々って意味でした。

歪んでいても続く日々に笑みを

鏡の前で化粧をしながら母とたわいもない会話をしていた時、鏡に映った自分の顔を見て「うわあ!」と言ってしまった。そこには片側に口角を上げて不自然に笑う女がいた。

お世辞にも綺麗とは言えない歯並びをしている。歯並びもそうだし歯の形も八重歯があったり、全体的に口を開くとギザギザしている。
歯並びが不自然な噛み合わせを生み、自分にとって使いやすい方の歯にばかり重労働を課すばかりに、片方の表情筋のみが発達したのかそれとも顔の骨格自体が洒落にならんくらい歪んでいるのか、年々私の笑みは歪んでいっている。

人の印象は外見でおおよそ決まるなんて言うが、歪んだ笑みを浮かべる私を見て、何人かが私の人間性の歪み具合を推定したりするんだろうか。



「今、なんか笑ってなかった?」

人の多い喫茶店で友人が私をジトッとした目で見ていた。

私はというと、その時自分が笑っているだなんて思っていなかったから、「笑ってないよ」と素直にいった。
でも思い返すと、笑っていたのかもしれないと思った。

その友人とは13時に待ち合わせをしていて、時間通りに行くと「ごめん今バタバタしてるから15分後に来て!」とメッセージが来た。本当はもう家の前まで車を乗りつけてたのだが、そのことは言わず、「はいよ〜」とニョロニョロにありったけの呑気さを詰める。
その後「やっぱり30分後」と返信が来て、近くで暇を潰していた私は一度家に帰った。

その後「ごめん、実は今家に警察が来てるからだいぶ後になる」と連絡が来た。

その子の家が大変な状況にあるという話は聞いていた。今日も約束の時間間際に、家のトラブルが原因になって警察が来るほどの騒ぎが起きていたらしい。
これに関しては詳述は避けるのだが、その大トラブルにはその子自身にも要因があるらしかったので、「友達と約束してる時に警察沙汰の事件を起こすなよ」と思った。

私が笑ったらしかったのは、やっと喫茶店で落ち合えた後、その子から警察沙汰の事の顛末を聞いている最中だった。

「笑ってないよ」と言った時には明確に笑っていた。私はどうしていいかわからないとヘラヘラ笑う。

するとその子は、「いやお前は笑っていたし、お前はこういう時にこういう状況を笑ってくる女だよ」と言った。

それは別に嫌味ではなく、幼なじみである理解者からの分析だった。
そしてそれに関しては私も納得した。




どうしようもない状況に出くわした時、笑わざるを得ないことがある。感情の分類ができないまま、表情を通して外に出た時、笑いになっていることが多い。
でも、申し訳ないけど、私は本気で面白いとも思っている。

アル中の気があった元彼が、私と別れてからアル中を悪化させて、私の次に付き合った女の部屋でおしっこを撒き散らしているらしいという話を聞いた時、私は爆笑していた。
本気で面白いと思った。悪い笑いだと思う。
幼馴染が警察沙汰のトラブルを起こして約束に遅れてくることも本気で面白いと思っている。悪い笑いだと思う。

でも、ここで「笑い」という感情を選択するのは自由だと思っている。
私たちはギャンブルに失敗して自己破産して笑っていいし、酒に溺れて川に落ちて風邪をひいて笑っていい。それが本当に「笑い」に分類される感情じゃなかったとしても、心は後からついてくる時もある。




「でもありがとう!話聞いてくれてスッキリしたわ」

と笑う友人に「そりゃよかった」と返す私の笑顔は、片側に歪んでいる。

欠けたり歪んだりしている私たちに、平等に、明日はまっすぐやってくる。

君は気づけるか、この謎に

友人の結婚式があった。

高校から仲良くしている女友達だ。この時勢のこともあり、開催にあたって色んな不安や悩みも聞いていた。
重い扉が開かれた時、ふりきった笑顔で純白のドレスを着ているのを見て、「こんなに綺麗なことはないな」と嬉しかった。

良い式だった。
友人のスピーチは、格式ばったものではなく、2人のことを詩的にたとえた素晴らしいものだった。
酒好きな新郎新婦らしく、美味しい日本酒がテーブルに置かれ、その全てが美味しかった。
退場はネバヤンの「明るい未来」が流れ、新郎側の友人たちがアドリブで合唱しながら2人を見送り、そのあまりの温かさに泣いてしまった。
今この2人は心から祝福されてるんだなと実感し、こぼれる涙も温かかった。

終始、感染症対策に気を配りつつ、二次会も進んでいった。ユニークな人たちに囲まれ、私もお酒が進み、マスクの下はいつも笑顔でいた。外に飲みに出ることがほとんどなくなった最近の中で、一番楽しい食事だったように思う。

楽しい時間を過ごし、〆はラーメンを食べてホテルに戻った。普段は〆のラーメンなんて食べないけど、気持ちが大きくなっていたので、スルスルと麺が胃に入っていった。

睡眠はとても快適だった。程よくお酒も入り、溶けるように眠りについた。

 

朝、ウンコを漏らし、風呂に入って帰りの支度。もう家に帰るんだなと思うと、楽しかった昨日を思い出し、少し寂しくなる。


帰りがけに駅前で、有名店のタピオカミルクティーを頼み、それを飲みながら電車に乗った。

飲む配分を間違え、カップの底に溜まったタピオカを眺め、「私もこんな風に、取り残されないようにしないとな」とつまらない独り言を呟き、家に帰ったのだった。

 

おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわかりいただけたであろうか………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆話の解像度をあげてみよう!☆

 

 


夜も更けてくると、段々人も帰り始め、より仲の良い人間のみが残るようになってくる。

 

新郎側の友人たちはとても面白い人達だった。

誰かの最低なスケベな話をしたかと思えば、一瞬のノリで大喜利を始めて、あと何ミリかズレるとただの下品で身内ノリの集まりに見える所を、センスでただの下品に見せない、独特の面白さがあった。

 

私は他人のセックスの話と、倫理観のない話がとにかく好きなのでずっと笑っていた。

 

隣にいた男が、「この前さ、」と話し始める。

「この前呼んだデリヘル嬢から騎乗位をした時に母乳が出て、『ラッキー!』って思ったんだけど、よく聞いたらその子鬱病の薬を飲んでるらしくて、その影響で乳首から汁が出るらしく、俺は母乳と見せかけた鬱汁を飲まされたのかもしれない。」

 

何の話?
さすがに何の話すぎて、どう感想を言ったらいいのか分からない。
母乳だったとして、知らんデリヘル嬢の母乳を嬉々として飲むな。

 

「ピリきゅうちゃんはさ、なんかこういう面白い話ないの?」

 

なぜかその後の順番が私に回ってくる。
なんでだよ。デリヘル嬢の乳首から鬱汁が出てくる以上に面白い話なんてこの世にないだろ。

でも、どこかで「コイツらに負けたくない」という気持ちもあった。

 

ここは戦場だ。
人の結婚式の後で、最悪な話を披露し合い、どれだけ最悪かで勝ち負けが決まる。
女だからという理由でこの場から逃げ、笑ってるだけの観客に徹したくはない。

私は日々、露悪的なものと向き合っているという自負があった。
この世は目を背けたくなるものの方が絶対に面白い。明るい光が当たるところではなく、路地裏でジメジメとした所に生えているキノコに旨味を感じて生きていたい。


人間の嫌な部分や、いやらしい部分、そういう部分から目を背けずに、ドロドロとした感情を創作にしていきたい。

このブログもそういう想いでやっている。

絶対に負けられない戦いがココにはある。

見てろお前ら!!!!!
ここで今!!!!!!!!!!
私も最悪な話をしてやる!!!!!

 

 


私はヘラヘラとしながら、「そんな面白い話は持ってないわ〜ごめん」と逃げた。
心の中では、空の引き出しを全てあけ、座り込む私が居た。

乳首から鬱汁が出るデリヘル嬢に、私は負けたのだ。

 

6時間後、起きたらウンコを漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわかりいただけたであろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


なんで?

ウンコは漏らさなくてよくない?

 

 


2020年、ブログ読み返したら、年明けで血尿出して、年末にウンコ漏らしてました。


お前は酒を金輪際飲むな。

 

2021年も素敵な1年になりそうです。
来年もピリきゅうをよろしくお願いします!

仕事を休んでやった

【新曲】

ピリきゅうちゃん / 仕事を休んでやった

100回再生 3時間前


(サビパート)

仕事を休んでやった

昨日の夜から休む想像しかできなかったので休んでやった

毎月大変なのは全員一緒とか 

自分だっていつも我慢してるじゃないかとか色々考えたけど

どう考えてもだるかったから休んでやった

股から変なもんが出るのは緊急事態だから

だれがなんと言おうと 毎月来ようと 緊急事態だから

 


でも休んだら休んだで罪悪感があった

やっぱり働けたんじゃないかとか 

なんで今月だけダメになっちゃったんだとか

私がいない時にみんな頑張ってるのにとか仕事増やしちゃったんじゃないかとか

自分だけが怠けてるんじゃないかとか色々考えた


友達が同じ状況でそんなこと言ったら

確実に「そんなことない」って言うと思う

休んだっていいってわかっているけど

休んだら休んだでなんか凹んでる

自分にとっていかに「仕事」が存在価値を表すものなのか再確認した


※(サビ)

仕事を休んでやった

昨日の夜から休む想像しかできなかったので休んでやった

毎月大変なのは全員一緒とか 

自分だっていつも我慢してるじゃないかとか色々考えたけど

どう考えてもだるかったから休んでやった

股から変なもんが出るのは緊急事態だから

だれがなんと言おうと 毎月来ようと 緊急事態だから

 


明日から頑張ろう

頑張らなくてもいいけど頑張る

頑張るのは別にだれのためでもなくて

頑張ってる方が自分が楽になるから


でもコレだけは言わせて欲しい

どうしてもコレだけは言いたい

 

昨日からずっと思っていた

胸の底に溜まっていた

口に出して言ってなかったけど

明日からまた頑張るから

本音を言わせて欲しい

 

(ラップパート)

てんちむ金返してくれ

Aカップから色んな努力して

巨乳になった貧乳の星てんちむ

豊胸なんて嘘だと言えよ

てんちむ金返してくれ

YouTuberのてんちむ

3カップ上がるの信じて買ったナイトブラ

てんちむプロデュースナイトブラ

いつまで経ってもAカップ

個人差ありますAカップ

てんちむ金返してくれ

一体何をずっと揉めてるんだ

大麻使用までバラされて

一体何をずっと揉めてるんだ

全然意味は分からんが

他人が揉めてんのは結構おもろい

てんちむ金返してくれ

ていうかてんちむって誰なんだ

誰でもいいから金をくれ

5億円くれ

あとカニを毎日食わせてくれ

上海蟹食べたい

あなたと食べたい

は?

ラップってなんだ?

韻なんて踏めるか

豊胸したところで誰が喜ぶ?

ピリきゅうの巨乳誰が喜ぶ?

5億円よこせ

たのむからよこせ

5億円

5億円よこせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!


(サビ)

仕事を休んでやった

昨日の夜から休む想像しかできなかったので休んでやった

毎月大変なのは全員一緒とか 

自分だっていつも我慢してるじゃないかとか色々考えたけど

どう考えてもだるかったから休んでやった

股から変なもんが出るのは緊急事態だから

だれがなんと言おうと 毎月来ようと 緊急事態だから

 


ラ〜〜〜♫

 

 

 

 

 

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(コメント欄)

yasasiihito  3時前

コンディションが最悪にしてもひどいな!ブログやめろ貧乳!酒飲んで寝ろ!あったかくしろよ!ほんで明日からがんばれよ!

 

Nekochan  5分前

↑ やさしい

次の問いに答えなさい

問い:次の文章はピリきゅうが小学生時代の頃のエピソードである。これを読んで、ピリきゅうが同級生からどのように扱われていたかを推測し、十五文字以内で答えなさい。

 


________________

 


小学校の頃、一緒に帰る人は家がある地区が近い人と決められていた。

私と一緒に帰っていたのが、可愛くてスポーツもできて明るい人気者の二人だった。

帰り道、横に広がりすぎると横を通り抜けていく自転車に舌打ちをされる。3人で帰るなら誰か一人は後ろに寄り添う形で歩かなければならない。

私はいつもその一人の立ち位置だった。

 


自分から会話を振ることはない。二人が話していることをなんとなく大袈裟に笑う。同じことを繰り返して話してみる。それらの行為をすることで、「私たちは3人で帰っている」ということを誰かに証明したかったのかもしれない。家に帰るまでの道は、いつも長く感じた。

 


ある日、話題が二人が読んでいる雑誌の話になった。二人はニコラという女子小中学生向けのファッション雑誌を読んでいるらしかった。ファッション雑誌なんて買ったことのない私は全然話についていけなかったが、「へ〜そうなんだ」と適当に相槌を打っていた。

 


すると急に、二人が「きゅうちゃんは正直ダサいよね。」と言った。

 


胸の奥がキュッとなる感覚がしたが、二人が笑っていたので、私はヘラヘラと「いや〜そうだよね」と返した。

 


二人は全く悪気なさそうに、「きゅうちゃんはこうしたらもっと可愛くなるよ」というのを教えてくれた。二人は楽しそうに変身のシュミレーションを考えて、私の持ち物から髪型から何から何まで考えてくれた。私はずっとヘラヘラしながら、「なるほど!すごい〜ありがとう」と笑っていた。

 


別の日、二人から「DSを持っているから」という理由で遊びに誘われた。DSは電池切れで使えなかった。DSを持っていない自分にどういう存在理由があるのか全く分からなかったので、お腹が痛いと嘘をついて遊びに行かなかった。

 

 

 

_____________

 


【解答欄】

ピリきゅうは二人に(           )。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【模範解答】

ピリきゅうは二人に

 


メチャクチャに舐められていた。

 

 

 

 


【解説】

いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜舐められてるよな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

自分より立場が上だと思う人間に、こうしたほうがいいああしたほうがいいって押し付けないもんな〜〜〜〜〜。

まあ、親切心というか、そういうコミュニケーションの取り方だったんだろうと思うし、なんやかんや仲良くしてくれていたので、二人とも結局メチャクチャいい子なんだろうなと思うけど、「改造計画」という名のもとに色々と考えて楽しまれていたのは、ちょっとした良いおもちゃとして扱われていたんだろうなと思う。

 


あと、私の家が一番学校から近かかったんだけど、なんかやたら食い物をねだられたな〜。マジで菓子のようなものが何もなくて、お母さんが漬けてる梅干ししかなかったので、梅干しをいつもあげてたな。

 


梅干して!!!!!!!!!!!!!

梅干しやるくらいなら「なんもねえ」って正直に言えばいいのに梅干しあげるて!!!!!

ほんで二人とも食うんかい!!!わりと気に入って毎回私の家に着くたび梅干しねだるんかい!!!!!

 


化粧をすることにそこそここだわりがあるのは、こんなふうに見た目で舐められていた過去があるからかもしれない。

今でこそ、自分という人間にそこそこ自信をもてているのでデカイ態度で人と接することができているけれど、小さい頃の自分はヒエラルキーというものに敏感で、常に自分は底辺にいるという自覚で人と接していたと思う。

今考えるとそんなものはなくて、「合わない人間とは付き合わなくていいし、合う人間とだけ仲良くしていればいい」のだ。

それに気付けたのはだいぶ精神的に大人になってからだった。

 


人に怒れないし、いつも周りに合わせてヘラヘラしている。

梅干ししかあげるものがないけどあげてしまう。

でも、こんな私だからこそ一緒にいやすいと言ってくれる友人もいる。なんでも話せると言ってくれた友人もいる。

 


化粧をそこそこして強そうな見た目になった今、舐められることは減った。

仲のいい友人は私が化粧をしているかどうかなんて何も気にしない。

 


【この問題のポイント】

結局は自信を持つということが大事。

私にVIOの処理をさせるな、お前に人の心があるなら

「すいませんが、この状態では今日はできませんね・・・」

申し訳なさそうに微笑む彼女の腕には一本の無駄毛もない。

 

 

 

全身脱毛に去年から通っている。

自分の体毛に少なからず不満を感じる部分があったのは確かだった。少なからずと言ったが、どちらかと言うと大いにある。カウンセリングの際、「毛なんてまつ毛と髪の毛以外にいらないんですよ」というサロンのお姉さんの大見栄きった発言に心を打たれ、通うことに決めた。

 

「脱毛に来る前にはご自分で毛の処理をして来てくださいね。」

 

と説明を受けた。ただ、うなじと背中に関しては自分でしようにも届きようがないので、機械を当てる前にサロンで剃ってもらえるらしい。

もう何年も毛の処理とは付き合ってるので、それは別に構わないと思っていた。

「うなじと背中以外」にVIOが含まれていることを私はかるーく考えてた。

 


シャワーを浴びる。ボディソープで体を洗うときに体毛を剃る。慣れたルーティンだ。

しかし、いつもと違いどこか緊張が帯びている。私は今日VIOを剃るのだ。

デリケートゾーン用に買ったヒートカッターはうやうやしく浴槽のヘリで出番を待っている。

体を洗い終わりシャワーで泡を流す。諸君、私は今からVIOを剃るのだ。大業を果たす私を応援したまえ。流れゆく泡を見ながらヒートカッターの電源をいれる。

 

ブブブブブブブブブブブブ

 

一回電源を切る。

 

え?

音大きくない?こんなもん?

 

ヒートカッターが思ったより勢い良く震えたことに、私は少々驚いた。

一回浴室から出て、投げやりに捨ててあったヒートカッターの箱を見る。デリケートゾーン対応の文字がある。オッケーオッケー、マジ需要と供給に適ってますわ。風呂椅子に座り、もう一度電源をいれる。

 

ブブブブブブブブブブブ

 

一回電源を切る。

 

首を下に曲げ、股の間を覗き込む。

 

え?

この森みたいなとこにコレ今から持ってくの?ヤバくない?

 

急に事実が色味を増して迫ってきた。いや股の間にあるのは漆黒がごとき森なので色味はないのだけれど。

その富士の樹海みたいなとこを、得体の知れない震える刃物が今から迫るのだ。正気の沙汰か?考えた奴本当に人間?

 

よく考えたらこんなマジマジと股の間を覗き込むなんて体験は今までなかった。

遠い昔、どうなってるのか気になって真ん前に手持ち鏡を置いて「グロすぎワロタ」という感想を抱いてから以来、なんなら直視するのを避けていたかもしれない。

 

人体の中でもそこそこ日々関わりを持っている箇所の割に顔を合わせたことがほぼと言っていいほどない。

この体をつかさどっているいわば社長らしき立場としては「いつもよく頑張っておるな」と肩でも叩いてやるべきなのだろうが、肩を叩こうものにも「グロすぎワロタ」な見た目がそれをさせようとしないのだ。


「もう少し可愛い見た目をしていたら扱いを改めてやらんこともないのに」と長年差別主義者のパワハラを働き続けてきたツケが今回ってきたのだ。


今こそコイツと向き合う時だ。久しぶりに顔を見たら意外に可愛い顔をしてるかもしれない。

社長は心に愛情を、右手にヒートカッターを持ち、樹海の中にいる社員に会いに行った。

 

 

 

 

「あ〜・・・お客さんVIOの処理初めてなんですね〜」

 

サロンのお姉さんに開けっ広げに股を広げている。私はその言葉の言わんとする意味をすぐ理解した。

毛の処理が甘いと機械がうまく反応しないため、施術をしてもらえないのだ。

凹んでいる私に、お姉さんは一生懸命、VIOの処理の仕方を説明してくれた。恥ずかしげもなく色んな体勢を取ってくれている。そこまでするならもう私の毛も剃ってほしいと思う。

腕に一本の無駄毛もないお姉さんの肌は光っている。彼女は自分の社員を一人残さず大切に扱っている社長なのだろうなと考える。

 

 

 


一ヶ月後、私はまた風呂椅子に座りヒートカッターを眺めている。脱毛は明日に控えている。1ヶ月間無視した結果、樹海は過去の勢いを取り戻しつつある。

今回こそは……。そう思い、カッターの電源をつける。


ブブブブブブブブブブブ

相変わらず大きくなる音。別の部屋でテレビを見てる親に、娘がVIOの処理をしているとバレたくない。そんな羞恥心は捨て、私は必死に目の前の樹海に立ち向かった。

「ぬおおおおおおおお」


私はやる気に満ち溢れていた。樹海から余すことなく木を伐採しようというやる気に。木は微動を続けるカッターによって無惨になぎ倒されていく。


ブブブブブブブブブブブ

「おらおらおらおらおらおらおら」


所詮毛は無力だ。根っこを生やし、迫りくる私から逃げることもできない。私はチェーンソーを持って樹海を暴れ回った。一ヶ月で生えた毛はみるみるうちに減っていく。

フハハハハハハハ!!!!!どうだ参ったか!!!!!毛の分際で私をなめるのも大概にしろよ!土下座して謝れ!!!!!!!!フハハハハ!!!!


ブブ・・・


一度電源を切る。


ふと自分を鏡で見る。

立ち上がってガニ股にしたまま腰を折りたたみ、股の間から顔を覗かせている自分と目が合う。

意味の分からない体勢をとりまくって体はバキバキ言っている。


私は一体何をやっているんだ?

一日中働いて帰った後に、なんで風呂で汗だくになりながら股から顔をだしてるんだ?

風呂はいつから戦場になったんだ?

 

「私パ〇パンなんですよー」

そう赤裸々に言って笑うギャルモデルは、皆こんな面白いポーズをとっていたのか。

これが世界の真実か。ギャルは風呂場で泣いている。自分の股間の業の深さを、月に一度目の当たりにしている。

 

私の脱毛は明日に迫っている。

私もコイツと向き合わなければいけない。

 

悲鳴をあげている肩と首を無視して、ヒートカッターを手に取った。

 

 

 

 

 

「女性器がチ〇コくらい面白い形してたら、こんなに処理が憂鬱にならない気がするんだよな。」

 

サロンであられも無い姿になったまま、友達が言った謎の主張を思い出す。毎回大変な思いをしているのは、私だけではないと思い返す。


処理がVIOに移る。隠していたタオルがはぎとられる。

寝たフリをしながら緊張で身体を強張らせる私。

お姉さんは妖艶な笑みを見せながら言う。

 

「ここ、一本毛が残ってるので避けて機械あてますね〜」

 

ギャルが落ちる地獄は加湿器アロマのいい匂いがする。

今日も鬼の毛は、顔から下に1本も生えていなかった。

黒髪の乙女は下ネタが嫌い

 

下ネタに対する嫌悪感はほとんどないものだと思っていた。


なんなら好きである。

東に性事情を赤裸らに語る女子会あれば、行ってツマミに酒を飲み、西に面白いエロ漫画の煽りがあれば、読んで腹を抱えて笑う。

ドロドロした恋愛の情事が描かれた本を好んで読み、儚げな純情乙女がこれを読めば、「やだ!わたしったらこんなもの読んで・・・」と顔を赤らめるんだろうなと想像したりする。

強いて言うなら、下ネタは好きな割に、登場する部位等の名称をハッキリと口にするのは躊躇いがあるなという自覚はあった。

 

そんな時、NHKでアニメ「おしり探偵」のオープニングを見た。


おしりをモチーフにした顔は、柔らかそうな頬?のあたりがほんのりと赤らんでいる。

おしり探偵が愉快に助手と踊り、登場人物たちと物語をくり広げていく様がよく分かる楽しいオープニングだった。


私はその時、自分の顔が熱くなっていくのをなぜか感じていた。


「や、や、やだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!おしりって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!」

 

私は見ていられないくらいはずかしくなってしまった。自分の心に何が起きたのかは全くわからなかった。ただ、私の心には、黒髪つややか三つ編みの乙女がこの映像を見ることを必死に拒んでいるのであった。

 

口調から察するに、おしり探偵はどうやら紳士的であるらしかった。そんな風貌をしているのに、紳士の振る舞いをするなよと思った。

そして茶色の何らかの生きものである助手の名前が「ブラウン」なのは、主人がおしりであることと何の因果関係があるのか考えたくもなかった。


アニメにしては長めのオープニングが終わろうとしたところ、おしり探偵が何か決め台詞を放った。その瞬間おしり探偵の口(おしりであるところの割れ目)から黄色い着色をした空気が出てきて一面を覆った。黄色い霧が晴れた時、助手のブラウンが苦痛に顔を歪めて倒れていた。

 

「もう勘弁して〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」

 

純粋無垢の黒髪の乙女は失神寸前だった。

もうこれ以上見てられないという気持ちでチャンネルを変えた。

 

 

 

 


おしり探偵との出会いは、私の下ネタへの価値観を考え直すことになった。

男女の性事情は好きだ。そこに下品さを感じたことはない。男と女のエロチシズムを帯びた交わりに対し、文学的な美しさを感じている節があるかもしれない。肉欲を抱く乙女も私は美しいと思うし、魅力的だと思わざるを得ない。

 


私はおしり探偵の出会いと共に自身の過去を思い返した。

そして、ある推測にたどり着いた。

恐らく私は排泄にまつわる下ネタが受け付けないのだ。


学生だった頃、よく女同士でトイレに行くグループがいた。「○○トイレ行こー」といった具合に仲の良い友達を連れ出して女子トイレに向かう。私はこれが考えられなかった。私はその空間で誰かが喋っていると落ち着いてトイレが出来ないほどに、己の排泄に対し羞恥心を持っていた。現に、トイレに行く際には最も離れた校舎まで移動して誰もいない所でトイレに行くのが普通だった。


なぜだか分からないが、「排泄=恥ずべき行為」という強い観念に縛られており、私はいまだに家族の前で放屁することすらできない。(放屁に関しては、文字にすることすら本当に恥ずかしくて今頑張って書いている。おならなんて言おうものなら、頭を壁に強く打ち付けてしまいたい。)

 


頑張れば「うんこ」とは口に出すことはできる。

たとえば、負け惜しみの気持ちを込めて相手をけなすときに

「ばーかばーか!うんこー!」

と小学生がごとくののしることは出来る。


ただ、自分の排泄を報告するために、

「今朝の私が肛門からひねり出した一本糞は、うんこ史に刻まれるべき類まれなる立派な出来でございました・・・」
というのは絶対に恥ずかしい。やだー!もー!

 

下ネタがなんでもイケると思っていた私だったが、案外自分にも黒髪の乙女がいて、顔を赤らめて背けるような一面があるらしい。可愛い所あると思いませんか?

 

 

 

 

 

 

 


「・・・・ってことでそれをおしり探偵見てて気付いたんだよね。」


GWの真っ只中、私は友達とzoom飲みをしながら、そんなことを話していた。


「だから、漫画とかである、だらしのない人が部屋でオナラする描写とかもメチャクチャ恥ずかしいんだよね・・・」


私はそう言いながら、一体私は飲み会でなんの話題を話しているんだろうかと正気に戻った。25にもなって共感性0の話題を酔って提供している。この状況こそが恥ずべき状況なのではないかと一瞬思った。

 

すると、黙って私の話を聞いていた友達のすずめちゃんがこう言った。

 


「じゃあ、オナラの代わりにだらしない人が部屋で脱糞してたら恥ずかしくないってこと?」

 


どうしてそうなるんだ。

それはだらしないどうこうの話ではないだろ。急いでトイレに駆け込めよ。

 


「それは笑っちゃうし、たぶんその漫画は私好きだな。」

 


そしてこんな話を真剣に聞いてくれる友達の存在が好きだ。

私の中の黒髪の乙女も、笑ってそれに同意した。

キューピーは今日もコーヒーを飲ませてくる

私はコーヒーが飲めない。おそらくコーヒーのカフェインが極度に向いてないのだと思う。飲んでしばらくすると動悸が激しくなり、頭痛がおこり、吐き気に襲われる。なのでどうにかこうにかコーヒーを飲むことを避けて生きてきた。

 

 

そんな私に無邪気にコーヒーを勧め続けていくる一人の男がいた。

 

 


「おっ!今日はどうした?オイル交換かな?!」

 


車の下からもぞもぞと出てくるその人は、強面のオデコから金髪の少量の毛が生えていて、ほとんどキューピーマヨネーズと同じ風貌をしている。立ち上がると体格の良い大きな身体が目立つ。大きなオーバーオールのポケットからはスパナがのぞいている。

 


車屋のキューピーマヨネーズと知り合って早3年ほどになる。最初はあまりのイカつさにただ恐縮するばかりだったが、来るたびいつも優しく話しかけてくれるキューピーに段々心をほだされ、車に何かある度お世話になっていた。

 


キューピーは、雑多にタイヤが詰まれた事務所の、小さな机に私を案内するとお湯でカップを温めながら必ず聞くのだった。

 


「で、コーヒーでええよなあ?」

 


そう。

この強面のキューピーこそが、私にコーヒーを飲ませてくる男だった。

 


最初、車を買う契約をする際、なんの有無も言わさず私の前にブラックコーヒーが置かれていた。その時は「客の対応をする時はコーヒー出す人なんだろうな」くらいにしか思わず、少しだけ口をつけて終わった。

 


しかし、キューピーはとても人が良かった。いや、ただただおしゃべりが好きなオッサンであったと言う方が正しい。私が車を持ってくるたびに平均一時間ほどコーヒーを飲みながら雑談をさせてくるのである。

(今日こそ!!今日こそ言うぞ!!「コーヒー実は飲めないんです」って言うぞ!!!言うからな)

 


喉まで出かかった言葉を置き去りにして、私は「あ、ふぁい〜」と間抜けな返事をしていた。

言えない。言えないのだ。キューピーの強面が怖すぎて何も言わず我慢して飲んだ最初の何回かが影響して、私の脳内には「今更飲めないなんて言えない」という葛藤があった。

 


整備が済んだ車に乗って帰る道中、「今日も言えなかった」という敗北感が頭痛とともに私を苦しめた。

 

 

 

 


別の日のチャレンジ。

走行距離がオイル交換日を告げた時、キューピーの頭部が頭に浮かんだ。今日こそは絶対に言う。強い意志を持っていけばなんとかなる。絶対に気まずさに打ち勝つ!!!!!

 


事務所のドアを勢い良くあけ、元気よく挨拶をした。

 


「待っとったよ!!!!!はい!!!!」

 


私の目の前にはコーヒーが勢い良く置かれた。


はえ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

勝てね〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!

 


キューピーは私の車が駐車場へ入ってくるのを見るや否や、カップにお湯を注いでカップを温め、私が事務所に入るまでにコーヒーをついで待っていた。なんでだよ。出来る秘書かよ。ハゲのオッサンのくせに。

 


キューピーは私にコーヒーを飲ませながら陽気に今日も話す。

 


「いやー昔はね、一斉検問いうのがようやっとってね、そこを俺たちは無視して突っ切るんやけど、警察の奴ら2メートルくらいある警棒を槍投げみたいに俺らに向かって投げてくるんよ!バイクの車輪めがけて投げてくるけ、食らったら大怪我よ!!!!ほんで警棒バットみたいにしてバイクのライトをぶち割るんじゃ!!!王貞治顔負けじゃわ!!!!!」

 


ほんで話が濃い!!!!!!!!

フリートークで暴走族の話をするな!!!検問を軽いノリで突っ切るな!!!!

 


その日も敗北を味わいながら帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 


別の日のチャレンジ。

 


またオイル交換の時期がやってきた。

今日こそはと思い、私は力を溜めていた。何度もキューピーと戦うシュミレーションをした。「隙を見せたら終わりよ!話す前に殴る!これが鉄則!」と笑うキューピーを思い出す。

 


勢い良くドアを開け、挨拶をする。

 


「おっ!よく来たね〜」

 


キューピーは私を見て笑う。

話す前に相手を殴っていた頃のキューピーはもういない。いるのは優しくて気の良い元ヤンのオッチャンである。私が正直にコーヒーが苦手と話したら、「はよ言いや〜!」ときっと笑ってくれるはずである。

 


言おう。今日こそ向き合おう。キューピーがカップを温めているのを見て私は口を開きかけた。その時、

 

 


「コーヒーとこぶ茶どっちがええ?」

 

 


キューピーはそう私に聞いた。

 


こぶ茶?????????

急にメニュー増えた??????そして増やしたメニューがこぶ茶????????

 

 

 

「こぶ茶で・・・」

 


私はすごすごと小さく言った。

 

 

「こぶ茶!?自分変わっとるな!!!!!」

 

 

おめぇの二択のせいだよ!!!!!!!

と喉まで出かかったが、相手が喋る前に鼻を折るキューピーの必殺技を想像し、「へへ」と力なく笑った。

私はこぶ茶好きの女になった。

 

その後、キューピーはオジサンになって趣味がなくなってしまったというトークで一時間私を拘束した。「バイク乗ればいいじゃないですか」と私が言うと、「バイクは砂かけババアが砂をかけてくるから転んじゃうからやめた!」という謎のギャグを言ってきた。最近ハマっているのは金魚をたくさん交尾させて高く売ることらしい。

こぶ茶は意外にも美味しかった。

 

 


一度、別の車屋に車を出したことがある。

 

単に職場から近いというだけの理由でそうしたのだが、それに気づいたキューピーは少し寂しそうに「行きたいとこ行きや〜」と笑った。でも、そこでとられたお金を話したら、「うそやん!ぼったくられたなwうちならもっと安いで」と言った。

昔と違い、車屋は不景気が続くらしい。他よりも安くする、というのはどこでもやっている戦術らしい。でも、キューピーにはそれよりもっと違う強みがあると思った。私はなんやかんやキューピーと話す時間が嫌いではなかった。お金を多目にとられたことよりも、キューピーの少し寂しそうな顔を見た時、「他の所へ行くのはやめよう」と思った。

 


その人ととしか話せないことがある、そんなコミュニケーションを、キューピーは何より大切にしていると思った。

 

 

 

 


日はしばらく経ち、4月。
車検がそろそろ切れそうだったので、キューピーの元へ向かった。

世間は未知のウイルスと戦っていた。気軽に誰かに会いに行きコミュニケーションをとることすら難しくなってる。

「今日は早めに帰りますね」と言おうと思った。コーヒーは言えなかったけど、それは頑張って言おうと思う。キューピーが元気にこれからも車を売るために。

 


事務所の扉を開けた。


「世はパンデミックですな!!!!!わはは!!!!!」


キューピーはこぶ茶をいれて待っていた。